武甕槌命 經津主命 天児屋根命 比咩大神
金沢市増泉2丁目1-1
御當社増泉春日明神の来暦を尋るに村民古老傳承して日。往昔當国石川郡五箇庄と加賀郡小坂庄との両庄は大和国三笠山春日大明神の御神領にして両庄共に世々三笠山の御厨と稱し神田神畠を耕作して年貢を三笠山の神庫に納め来れり故に五穀豊饒成就の祈請の爲め三笠山の御神靈を庄内に勧請し奉り農耕の守護神とはなしぬ。五箇庄の村落は糸田増泉石坂中村大豆田の五ケ村にて各村は祠社を建立して御神靈を尊崇する中にも増泉は人皇六十二代村上天皇の御宇天暦元年に村中の神田千餘歩を社地と定め社殿神庫を造営して三笠山より御神靈を勧請す是庄内に御神靈を勧請し奉る濫觴なりといへり。さて神官社人を定め朝夕の神勤恒例の祭典等甚鄭重に致し早霖火難水害風難虫害の災ひなきやうにとの守護神となしぬ。然るに天文弘治永禄頃の兵乱に社殿悉く兵火に罹り縁起記録等の神寶共残らす燒亡して僅に燒跡の社地に草祠を営み神實を守護するのみなりしが世治り国内大平に属し慶長年中神官田中神主氏子村民の発起に依て社殿を再興して朝夕の神勤四季の例祭を復古せり。故に神威の應護も弥増て火難水害風難虫害の憂ひもなく村地の町在無異安穏家族繁昌す是偏へに明神の應護なるべし當社草創の天暦元年より今茲元禄9年に至り實に750年の星霜を経たり故に當社明神の来暦を舊聞のまま記載して氏子町在諸人の崇敬を仰がん爲め如斯謁戴すと云爾。
田中 正真
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